なかなかでないと思っていた国産分離色。ついにクサカベが出してくれました!
「アキーラコンテスト」というイベントの入賞作展示会で
抜き打ち発表されていた新商品のハルモニア。
この絵の具の存在を知ったのも画材沼の方のTwitterからでした。
Twitterでも発表してほすぃ……!!!!
と一絵の具マニアとして思いましたw
大人気分離色の国内版がついに出たんですよ?!めっちゃ絵の具界で大ニュースやん!と。
ホネは最終日に行ったのですが、新色の告知があったらもっと早く行っていたと思いますw
アキーラコンテストは向かったらパラダイスでした!イベント詳細はマカロン記事のほうで!
分離色ブームから数年。国産メーカーも分離色の作り方をレシピで教えてくれたりなどいろいろありましたが表立った製品は特に出ず。
そこを2022年春、クサカベさんがやってくれましたあああああああああ!!!!!
その名を「ハルモニア」まさに分離色にぴったりの名前です。
今回はメーカーの方から
ご提供をいただきましたが、もともと買うつもりでいたハルモニア。
発表時の絵の具沼界隈の熱気渦巻く雰囲気を再現するかのように、テンション高めで諸々紹介してまいりますっ!!!
開発秘話を大公開!
まずは開発チームの方のインタビューがございますので、
「戻る」を押す前にこちらを読んでいただきたく!
(自分の感想よりはるかに大事なので!)
※一部文体など私が書き加えているところがございますが、内容は同じです。
分離色根強い人気ですが、開発された経緯を教えていただきたいです
この類は15~20年くらい前では不良品の対象でした。
これまで作家のテクニックで見せてきたことが一つの絵具で、比較的簡単に出来たらうれしいかと思い、商品化しました。
ハルモニアで使用されている顔料は、「分離色のために改めて選び抜かれた顔料」で間違いないでしょうか?既存の混色で再現できないバランスかどうかが気になっています。
ハルモニアでは、「分離」を起こしやすく、使い勝手の良さそうなラインアップを考えました。
色名がイメージを体現しています。
当社のレギュラーのチューブ水彩は環境に配慮し、コバルトやカドミウムを使わない、をコンセプトとしておりますが、ハルモニアでは適応させていません。
派手さはないものの、使い勝手の良い、味のある分離を目指しました。
結果、水彩絵具には初めて使った顔料がいくつかあります。
PB28やPY138、PR179などが相当します。これらはアキーラや油絵具でこれまでも使用しておりました。
同じC.I.Nameでも、絵具メーカーによるこだわりで色調は異なります。
調色されるにあたって苦労された色など御座いましたらお聞かせいただきたいです
試作はもっとたくさん行いました。派手な色とか。
黄色や赤がグラニュレーションを起こす色とかできたらと思ったのですが、思うようにいきませんでしたね。
ダークネスサンドの黒色顔料(PBk11)が自然になるようにはしました。
「使い勝手のいい色にしたい」とお聞きしていますが、おすすめのモチーフなどあったら教えていただきたいです
それぞれなんとなくのイメージはありますが、派手に分離しても使い道が分かりにくい色はラインアップしていません。
おー分離する!でもどこにどう使う?
にはしたくありませんでした。
ネットでも話題になっている素敵な色名(英語名/和名)は、スタッフの皆様で考えられたアイデアでしょうか?
名づけ親から。
「色を見ていたら頭に浮かんだ情景を色名に反映させました」
どこで売っているの?
大きい画材店でしたら割と幅広く売っているようですが、
2022年春の段階ですと、売り切れたり補充したりやらで、てんやわんやのようです!!
お近くに大き目の画材屋のない方は、Amazonでも売っています。
気になる分量とお値段は?
10mlでお値段は1本825円(税込)。
5mlだとゆったり塗るには少なすぎ?、15mlだと多すぎ?という意見で10mlになったと、イベントでお聞きした記憶がございます。
クサカベならではの、こだわりポイントもチェックしました!
使い勝手の良さを重視した色のセレクト!
塗るだけでもきれいな分離色ですが、
どこに使うんだ?という色というよりは、絵に使いやすい色をセレクトしたと語っていただけました。
確かに原色かつ補色に近い混色はないので、全体的に優しめの色で使いやすいラインナップになっていると思います!
分離色のために選び抜かれた顔料!
開発秘話のところでもお聞きしましたが、既存のクサカベ水彩の混色で再現できるかと言われたらそういうわけでもなく。。。
油絵の具で使っている顔料を水彩で今回使ってみたなんてエピソードも聞けましたので、普通のクサカベの色を持っていても買う価値はあるというか……あと塗ったときの幸福度が高いです!!!(超主観)
パッケージがかっこいい
日本のメーカーらしからぬデザインで、ちょっと海外を意識しているように見えます。
通常の透明水彩よりちょっとおしゃれっぽい雰囲気で、「憧れの分離色がこの値段で!」みたいなお値打ち感もありますよね。
発売当初のTweetでは、チューブのパッケージに惹かれている意見もちらほら見かけました。
どうしても惹かれる和名!
そして和名がついていて1粒で2度おいしい。
アレです。キャラクターに例えるとすべてのメインキャラに二つ名が付いているようなものです。
それは興奮するに決まっているじゃないですか!!
ということで英語名の横に和名をつけようと考えたクサカベの社員さん達、最高だと思います。
個人的には英語そのままの「06 神秘的なブルーホール」が好きです。
全色紹介します!(他メーカーの分離色との比較もあり)
12色なので全色紹介します!
みんなの色見本を確認する限り、
ハルモニアは紙によって分離の仕方がなかなか違うので、2つ色見本を用意いたしました。
・いつもの絵の具検索用フォーマット(ウォーターフォード細目)
・ライムスキン紙(分離色がものすごく分離する紙。制御はちょっと難しい。通販のみで、下記で買えます)(2022/6/21現在販売していないようです)
さぁ、全色感想書いていきますよ~!!
01 パープル スピネル/煌めく尖晶石
水色と紫が分離する可愛い色。フラットに塗ると青紫で自分の心をしっかりキャッチw
ホネ山も一押しです!!
なんてったって他のメーカーにない色で(2022年5月現在)かわいくって使いやすい!
人気色だとのようなことをどこかで耳にしたような?!
02 スターリー ウィンター/冬の夜空
渋い青紫の中に、ウルトラマリンと茶色が分離します。
夜中の中に夜明け成分が混在しているようでエモいです。
DSのムーングロウと比較されやすいと思いますが、並べてみると結構別物。
スターリーウィンターの方が大分青味寄りです。
セーラー服とか、制服に使っても面白そうですね。
03 ダスク スカイ/夕暮れの空
ウルトラマリンとビリジャンがオレンジから分離します。
黒の代わりに使ってもよさそうですね。
こちらも前述のムーングロウやDSのシャドウバイオレットと比較されそうなので画像貼っておきました。
ちょっと似ているかもしれませんが、ダスクスカイのほうがシャドウバイオレットよりも紫寄りです。
04 ウィッチ ボルドー/魔女の赤ワイン
名前でノックアウトされている方も多いウィッチボルドー。
ペリレーンマルーンとウルトラマリンの組み合わせです。
ペリレーンマルーン多めで分離は穏やか。
分離させず文字通り赤ワインを意識して使うのも大有りだと思います。
05 サンライズ ブロッサム/朝日に目覚める花
キナクリドンバイオレットとウルトラマリンの組み合わせ。
ハルモニアの中ではとにかく派手な色です!
この組み合わせだとDSのローズオブウルトラマリンを思い出す方も多いと思いますが、サンライズブロッサムはもっと赤(PV19)寄り。
バラの花のモチーフとかに使ってみたい色ですね。
06 ブルー ホール/神秘的なブルーホール
ウルトラマリンとフタログリーンの組み合わせ。
まさに名前の通り神秘度高めなので私も気に入っています。
この組み合わせだとDSのウルトラマリンターコイズと比べたくなるのが心情。
結構似ているのですが、ブルーホールのほうが若干青味がかっていますね!
07 ミント ベリル/黄みの緑柱石
コバルトターコイズとキノフタロンイエローの組み合わせです!
市販の分離色にはなかなかない色(2022年5月現在)かつめっちゃ可愛いので、これもホネ山イチオシです!
黄色少なめなので、分離させるためにはちょっとコツが必要かな?
水多めにして、塗った後にちょっと紙を傾けて回すときれいに分離します。
08 オリーブ サファリ/アースカラーオリーブ
まさに迷彩のような分離色。
フタログリーンとジスアゾイエロー(山吹色)でオリーブっぽい色を演出&天然土で茶色を添えた感じの色です。
宇治金時と自分が呼んでいるDSのグリーンアパタイトジェニュインと似ているのですが
オリーブサファリのほうが粒子が細かくって普段使いするには使いやすいかな?
09 キャッスル グリーン/お城の蔦
フタロブルーと天然土の組み合わせ。植物描くときに使い勝手がよさそうな色です。
緑&茶色との組み合わせだとDSのダイオプサイドジェニュインを思いだしますが、あちらはもっと彩度の高い色でした。
キャッスルグリーンのほうがちょっとシックですね。
10 アークティック オーシャン/北極の海
確かに冷たそうな寒色グレー。ウルトラマリン、コバルトグリーン、カーボンブラックの組み合わせです。
スーツをこれで塗るとおしゃれかもしれません。
11 フォグ アッシュ/青鈍の霧
アークティックオーシャンと同じ顔料ですが、こちらは配合違いでよりグレー寄り。
ニュアンスの付いたグレーとして使うのがいいんじゃないかと思います!
12 ダークネス サンド/仄暗い砂
茶色の分離色って珍しいですよね。
そして配合も珍しいPO16(ピラロゾンオレンジ)と酸化鉄の組み合わせ。
なかなかおしゃれで上品な色なので、にじませるだけでも楽しいかなっと。
アークティックオーシャン、フォグアッシュの初期ロットをお使いの方へ(2022/10/26追記)
生産後約半年でチューブ内の絵具が硬くなる現象が発生しているとのことで、お持ちの方には改良品を送付するとのことです。
詳しくはクサカベ公式Twitterのリンク先(ブログにも貼りました)をご覧ください!
ホネのも2色硬くなっていました~。
この度、販売中のハルモニア透明水彩絵具の一部の色に、硬化傾向の現象が起こることが判明いたしました。
原因としまして、原料の一部である沈降を防止する成分が特定の原料に対して過剰に作用し、生産後約半年で中身が徐々に硬化していくことが分かりました。ちなみに該当商品を、柔らかい状態、あるいは硬くなった状態(ケース上で固めた状態も含む)でお使いいただいても、作品に影響を及ぼさないことを確認しております。
https://www.kusakabe-enogu.co.jp/news/news_item?id=47
分離色って楽しいけれど、絵のどこで使うの?
(分離を前面に出す場合)分離色は重ね塗りに向いていないので、一発勝負!
分離させずフラットに塗るなら重ね塗りもアリなのですが
分離を楽しもうとすると、模様×模様で重ね塗りすると汚くなってしまいます。
モチーフに使うときは白く残すところを慎重に作って、一発勝負で水×濃い色で画面を作っていくのがよさそうと個人的には考えています。
あ、あれ?あまり分離していないような。。。。。。
でもきれいな色ですよね~!
使いどころに悩むけど、きれいな色を見るのが好きなんじゃい!
いや、モチーフなど描かんでいいんや!
ただ色を塗って「あー分離しているなぁ~きれいだな~」って楽しみたいんや!
分かりますその気持ち!ただ塗るだけで楽しいんですよ!分離色は!
ということで、作例はそんな感じのものを用意いたしました。
難しい絵は描かずに、塗って加工するだけでもいい感じの作品になる!
というコンセプトで作ってみました。
(分離色の利用)色遊びを、額に入れるだけで美しい
ということで、ブルーホールを滲ませて塗ったものを超ミニ額に入れただけ!
製作時間、なんと約7分!(塗る~額に入れるまで)
でもなんだか様になっていい感じ。そうですこれが分離色です。
動画もとってみました(8倍速)
この超ミニ額は、新橋のファブリ様で購入しました(試作品みたいな1点ものコーナーの中でひとめぼれしたものです)
(分離色の利用)色遊びした紙から、グッズを作ろう!
そしてもう1丁作品を作っていきます。今回も色遊びです。
色遊びした紙をPCで加工して、グッズを作ってみようの企画です。
今回はTシャツにしてみようと。
キンコーズの新宿南口店に、即日でTシャツをプリントできるサービスがあり、
データを持ってきてみようということです。
問い合わせしたところ、以下のデータを持ってきてくれれば印刷OKとのことでした。
・28×36cm以内
・解像度できれば300以上
・PNGまたはJPEG(PNG推奨)
持ち込みできるTシャツプリント!当日1枚から最短3分|コピー・ポスター印刷・名刺印刷・製本、オンデマンド印刷のキンコーズ・ジャパン (kinkos.co.jp)
ということでまずは素材づくり!
(よく分離すると自分の中で評判な)ライムスキン紙に塗りました。
水をたっぷり使って分離させたので結構乾燥に時間がかかるかと思いきや、3時間ぐらいであっさり乾きました。
これをスキャンして加工します!!
画像編集ソフトでスキャンしたデータを編集していきます
ここからは、「クリッピング」の機能が入っているPC画像編集ソフトでしたら、PhotoshopでもクリスタでもGIMPでも可能です。
自分はPhotoshop使っています。
1)まずは黒い四角を並べます。 同じものを均等に12個並べました。
2)次に、クリッピングマスクの機能を使い、さっきのハルモニアの色遊びのスキャンを四角の中に入れていきます。
クリッピングマスクの使い方はこちら
Photoshop
CLIP STUDIO PAINT
GIMP
いい感じのバランスに色を並べました。
そしてキンコーズでTシャツに印刷してきました!!
レイアウトは横に変更しました。
セルフで作ると、店員さんに作ってもらうの2パターンがありました。
今回は、店員さんに印刷を任せたので機械には触れませんでしたが、セルフで作っても楽しそうでした!
てな感じで、着れるTシャツが出来上がりました!
応用すれば結構いろんなグッズが出来上がる
マステ、アクキー、iPhoneケース、マグカップ、トートバッグなどグッズのテンプレに上記の色遊びを入稿すれば、たちまちグッズになります(印刷費はかかります)
1個から作れるサービスを紹介します。
自分は印刷物作るときはよくグラフィックさんにお世話になっていました。
おわりに
分離色どうやって絵に生かそうかなぁと思っていましたが、
そもそも絵を描かなくてもいいんじゃない?というのが個人的には革命でしたw
とはいっても、実際の絵の中にも生かせるバランスが素晴らしいと思いました。
分離色の中でクサカベはとてもお手頃価格なので、「色縫って分離させてタノシーーーー!!!」を是非味わっていただければなぁという気持ちで書きました。
おまけ?ACQUERELLOいい筆でした!
Tweetにも書きましたが、とても「空気になってくれる」筆で、
使い手に技量(使いこなそうとする力)を求めてこない筆だという印象です!
個人的には好きです。
あと、意外と細かいものも塗れる。
これからもお世話になろうと思いました!