時は昨年末にさかのぼりまして……。
なんと!「ストーンヘンジアクアの記事を書いて欲しい!」というご依頼をミューズ様からいただいてしまいました。
ストーンヘンジアクアと言いましたらホネ山が愛用に愛用している紙。
もうそれは情熱を込めて描くしかないのです!!
(とはいってもPR記事はどの記事も「画材の良さ伝われ~!」と情熱を込めて作っています!)
速攻で構成を作り、作例も『ザ・ホネ』って感じの情念を紙に込めました!
いつも通りかなり長くなりましたが、是非読んでいってください!
ストーンヘンジアクアってどんな紙?
まずはストーンヘンジアクアについての説明ですね!
ストーンヘンジアクアはアメリカの LegionPaper 社から販売されている紙です。
オフィシャルはこちら。
日本での取り扱いはミューズ(以下敬称略)で、グレードは「最高級水彩紙」に属します。
最高級の通り、一番価格帯もグレードも高ランクということです!
Cold Press(荒目)とHot Press(細目)の2種類がございます。
Cold Press(荒目) Legion Paper社オフィシャルの説明はこちら
Hot Press(細目) Legion Paper社オフィシャルの説明はこちら
ここからは、自分の主観で紙について説明をします。
まず、どちらも使ってみると、細目と荒目で違う銘柄の紙なんじゃないかと思うくらい、紙の特徴が異なるんですよね。
紙の感想って使う人の画風や塗り方によることが多く、なかなか客観的な説明が難しいのですが
「パステルカラーを多用し、薄く優しく重ね塗りすることが多い。水はじゃぶじゃぶ使わない人」ホネ山視点での説明だとこんな感じです。
Cold Press(荒目)の特徴 ※主観
・重ねていくと乗算のようになり、ある程度濃い色を置くことが出来る(細目に比べてコントラストを強く出せる)
・水の弾きと吸い込みのバランスがいい(自分の感覚では丁度ストレスなく水がスッと紙に染みてくれる)
・リフティングはややしにくいけど、時間を置かなければできる
・マスキングテープにかなり弱い。マスキングインクに結構弱い
・消しゴムは普通にかける分には問題なかった
Hot Press(細目)の特徴 ※主観
・パステルカラーの発色をパステルカラーっぽく出してくれる紙(中間色に強い)
シルキーな紙肌&塗り心地
・最初に塗るときはちょっと弾き強め。下塗り推奨
・重ね塗り対応。リフティングにもそこそこ対応
・重ねていくと濃さには限界がある。粗目よりも薄い
・マスキングテープにかなり弱い。マスキングインクに結構弱い
・消しゴムは普通にかける分には問題なかった
こちらは2年前ぐらいに塗ったストーンヘンジアクアのお試し紙ですが
荒目を細目と同じように欲望のままに重ねまくったら、想定より濃くなってしまった記憶がございます。
今回の作例では、細目と荒目で同じようなテーマを1枚ずつ枚描いて塗り比べするのですが、
同じようなカラーリングにするために、荒目は幾分手加減してあっさり目に塗りました。
(それでも細目よりちょっと濃いですw)
日本に入ってきた経緯(プチインタビュー)
PR記事恒例、メーカー様の画材裏話です!
紙ってどうやってセレクトされて日本にやってくるのか気になるので、そこを重点的に伺いました!
Q1:ミューズさんがストーンヘンジアクアを取り扱うことになりましたきっかけを教えてください。
「紙の宝庫」と呼ばれるにふさわしい商品ラインナップを目指し、まだ日本に流通していない新たな海外水彩紙を探していたところ、
Legion Paper社のストーンヘンジアクアに出会いました。
ストーンヘンジアクアは「アーティストのニーズを満たす紙」をキャッチコピーにかかげており、
頭に思い描いたイメージがそのまま描画できる喜びを弊社のお客様にも届けられたらと思い、取り扱いを開始いたしました。
実は他にも、Legion Paper社の商品にはユニークなものがございます。
厚さが600gもある『ストーンヘンジアクア ヘビー』や、黒色の水彩紙『ストーンヘンジアクア ブラック』、
Legion Paper社の紙を一気にお試しできる『アーティストパッドコレクション』など、種類は実にさまざま。
上記の商品はまだ弊社での取り扱いが叶っていませんが、ストーンヘンジアクアの認知度が日本でも高まれば、もしかしたら実現できるかもしれません。
※『ストーンヘンジアクア ブラック』はホルベイン様からお取り扱いいただいています。(2023年1月現在)
Q2:ストーンヘンジアクアに触れる方へ一言お願い致します。
【ストーンヘンジアクアを使ってみたいかも!というお客様へ】
ご興味をお持ちいただき誠にありがとうございます。
ストーンヘンジアクアは水彩画のあらゆる技法を施しやすくするため、精巧に設計された水彩紙です。
海外輸入紙と聞くと、なんとなく「高度なテクニックが必要な上級者向けの紙」というイメージが強いかと思われますが、
ストーンヘンジアクアはその先入観を取り去ってくれます。
この機会にぜひお手に取っていただければ幸いです。
【ストーンヘンジアクアをすでにご愛用いただいているお客様へ】
日頃よりお引き立ていただき誠にありがとうございます。
ストーンヘンジアクアがお客様の創作活動の一助になれていればそれ以上のことはございません。
残念ながら日本ではまだまだ認知度は低く、弊社としても多くの人の手に届くよう尽力しておりますが、
なによりパワーがあるのはユーザーの皆様の作品の力だと思っています。
ストーンヘンジアクアを使用した作品が完成した際には、ぜひSNS等で発信していただけるととても嬉しいです。
引き続きストーンヘンジアクアを何卒よろしくお願いいたします。
ストーンヘンジアクアってどこで買える?
オフィシャルショップが確実です!
ネットのモールで販売されているものも紹介!
リアル店舗ですとちょっと前に世界堂新宿店で見かけましたが、在庫僅少だったので、今も置いてあるかは分からないです。。。
通販サイトが確実かなと思います!
最寄りの画材店さんで買いたい場合は、お取り寄せも可能です。
お試しをしたいのですが……!!(2024/1/4更新)
なんと、10月に(粗目・細目ともに)A4パックが一般画材店で発売されています!
しかもホネ山のイラストの付いた什器も一部店舗にあるみたいで!
めちゃめちゃ嬉しいです!!
ストーンヘンジアクア単品の他、1枚ずつお試しできるアソートメントもあります。
価格も5枚1,500円ぐらいなので、個人的にはこちらでお試しするのがおススメです!
通販ですと、ミューズオンラインショップの他、ARTs*LABo STORE、Amazon、楽天などでお取り扱いがございます!
さらにさらに、Arts laboさんで、ATCサイズ(64×89mm)のカードも販売しています!
ちょこっと使いたい方はこちらも!私も買いました。
ホネ山とストーンヘンジアクア
自分にとって、ストーンヘンジアクアは「自分の絵が上手く見える紙」です。
それまでのホネ山の絵は普通に透明水彩って感じの塗りでしたが
ずっと「CGみたいに中間色をぬるっと滑らかに出したい!」と思っていました。
約2年前、ふと貰ったお試しサンプル(細目)の切れ端に描いた絵がとてもうまく行きまして!
その絹のような発色と中間色の美しさに「これだ!!!!!」と感動し!!
それからいろんな紙を使いながらも、要所要所の重要な作品は「ストーンヘンジアクア細目(Hot Press)」で描くようにしています。
相性のいい紙との出会いは、まさに絵柄を変えてくれました。
自分の出したい色調・にじみには、シルキー発色のストーンヘンジアクア細目が欠かせないのです!
マスキングテープには弱いので、簡易水張りしたものを剥がすときに紙を痛めがちですが(細かい線などのマスキングだったらそんなにダメージ感じないです)
替えの利かない色の出方やぼけ方で相殺されています。
下記は私がストーンヘンジアクアで塗った過去絵です。
この塗るっと感、分かっていただけたでしょうか?!
だから私は、ストーンヘンジアクア(タイトル伏線回収)
これからも買い続け、使い続けます~!!
いろんな技法を試してみたよ
Hot Press(細目)/Cold Press(荒目)/ホワイトワトソン(比較)で比較したものをスキャンして載せました!
今回はPR記事なので、通常よりも丁寧にいろいろ試してみます!
マスキングは水彩沼にどっぷりの方々にも手伝っていただきました!
星之介さん、まやさん、ありがとうございます!
平塗り
使った色:キナクリドンパープル(シュミンケ)
(同時に塗っていないので濃さに多少差があります……)
細目の半透明感はこの紙だからこそです!!!
この質感が欲しくて使い続けています。 荒目は濃い部分がしっかり濃くなります。
ぼかし
使った色:ミジェロのセルリアンブルー(顔料はPB15:3)
細目も荒目も、モワっとにじむのが特徴かなと思います。
特に細目の方がモワモワとしていまして、発色も軽く水彩境界も出にくいと感じました。
グラデーション
使った色:ホルベインのピロールレッド
細目の色の伸び方がマジでシルキーです!
この伸び方こそ、ストーンヘンジアクア細目の醍醐味かな~と思います!!
分離色の分離っぷり
使った色:吉祥の顔彩 群緑
細目もちゃんと分離します!
分離の仕方もちょっとモワっとしているのが特徴ですね。
荒目は王道の分離って感じです。
ホワイトワトソンの絵具の濃度が少し足りなかったと後悔
重ね塗り
下地:キノフタロンイエロー(DS)
重ね塗り:左 パープルマゼンタ(シュミンケ)、右 ライラック(ホルベイン)
透明色とパステルカラーで比べました! 細目荒目、どちらも下の色が溶け出すことはなかったです!
細い線
使った色:ペリレーングリーン(シュミンケ)
細目はもちろんですが、荒目もそこまでボコボコした紙ではないので あまりかすれることはありませんでした。 (濃淡はちょっとあります)
主線(ペン)
ロットリング0.2mm+カキモリのブレンドインクです!
荒目でも特に線が途切れず描けました。
描き心地としては、ウォーターフォードの中目と同じぐらいのボコボコ具合だった感触です。
主線(色鉛筆)
どこにでも売っている、三菱ポリカラーのイエローオーカーです!
なんと紙によって発色の仕方結構違います!
細目は軽やか、荒目は濃く深い色が出ました。 こんなに色が違うとは思わなかったのでびっくりです!
消しゴム
使った色鉛筆はカランダッシュのスプラカラー水彩色鉛筆 サーモンピンク、
消しゴムはエアインです。
どれもよく消えます。
どの紙でも特に紙肌が荒れるということもありませんでした。
リフティング
せっかくなのでリフティング プリパレーションメディウムありと無しでも比較しました。
使った絵具:ミジェロのオリーブグリーンとミジェロのセルリアンブルー
細目はメディウム使うと結構抜けますが。荒目が結構癖有りで。 メディウム使っても30分ぐらい時間を置くとあまり色が抜けない印象でした。 濃く染みつく紙なのだと思います。
塩
使った色:クサカベ ハルモニアのパープルスピネル
比較的コントロールが効くのは細目、ランダム感が出るのは荒目って感じですね!
ステイン色よりもG色の方がジワっとはじいてくれそうです。
マスキング
せっかくなので各メーカー試しまくってみました!
画像では紙の荒れ具合がわからないので、文章でお伝えいたします。
細目
荒目
マスキングインク
※細目、荒目ともにほぼ同じような結果
ホルベイン:△(細かい線なら○)
クサカベ :△(細かい線なら○)
シュミンケ:△(細かい線なら○)
W&N :△(細かい線なら○)
東山 :△(細かい線なら○)
ペベオ :△
マスキングインクはいろんなメーカーを試してみましたが、紙はいずれのメーカーもちょっとずつ荒れる感じです。
強いて言えばシュミンケと東山が優しめかな?
ついでに「色を塗った所にマスキング液を塗る→剥がす」でどれくらい下の色がはがれるかを試しましたが メーカーごとの差はあまり感じませんでした。 どこも少しずつ下の色が薄くなりました。
【各メーカーの剥がした時】
ホルベイン:ぺりっと剥がれる。アンモニア臭がなかなか
クサカベ :粘着度高い(古めだったからかもしれない)剥がすのに時間がかかる
シュミンケ :ストーンヘンジアクアは一番痛まなかった。剥がすときにもろもろとカスが出る
W&N :いずれも3メーカーの中間ぐらいな感じ
東山 :比較的低ダメージ。液が灰色なので紙に染みたときのダメージは大きい
ペベオ :一部紙に染みました。
マスキングテープ・フィルム
マステmt :×
マステmint :△
マスキングフィルム:○
マスキングフィルムならマスキングできるかな?って感じです!いちばん紙に優しかったです!
でも細目はちょびっと荒れる。けど許容できる(上から塗ってもいいかなと思う)ぐらいでした!
使ったマスキングフィルムはこちらです。
次点のmintは一部紙が荒れますが、普段水張り代わりに使っています。
こちらの記事で詳しく解説しています。
ストーンヘンジアクアで作例を作りました
今回のコンセプトはこんな感じで考えました。
1)タイトルの「だから私は~」感を出したかったので、その画材が引き立つ絵というよりは、ホネ山らしい絵になることを優先させる
(いつもは画材の魅力が引き立つことを優先して、描くものを選んでいます!)
2)細目と荒目で同じテーマで連作を描き、使い勝手を比べる
自分っぽい絵=ファンタジーでエフェクトあり?
描いたことないけど幅広げるためにドラゴンも描いてみるか!
ということで戦闘シーンの連作絵になりました。
実際できたものはこんな感じです。
Hot Press(細目)
キャラクター二人の前に立ちはだかるドラゴン。
四角い帽子の子の電気ムチで攻撃するけど、巨大なドラゴンの前ではあまり効かず、炎が迫ってくる……。
今まで描いた中で(色使い・題材総合して)最も自分らしいというか、描きたかったものを全て載せられた気はしました。
後は水彩で噴き出す炎を描くのがとても難しかったです!
資料見まくりでしたがある程度デフォルメしないと太刀打ち行かなかったので、また描く機会を設けたいですね。
細目は塗り重ねるとムラが目立ってきますが、そこは水を使ったり、マスキングフィルムでマスキングして平筆などで一気に塗ることで克服できそうな気はしています。
次の課題です!
恐らく、パーツごとに細かく色を分けて塗る絵の方が合っているかもしれません。
Cold Press(荒目)
ドラゴンの吹く炎に対して、協力して防御と攻撃を繰り出す二人。
細目よりも時間が経っているので、少し日が沈んでいます。
こちらもエフェクトとエフェクトが重なり、どのくらいの濃度で塗ったらいいか、すごく難しい絵でした。
何とか戦闘しているっぽく描けたのでOKです。表情も生きた感じに描けました。
荒目の方がムラは少なく、色も力強く出ます。
細目にあった中間色のふわっと感はあまり出てこないので、パステルカラー多めに混ぜて塗りました。
他の水彩紙よりも重ねるとどんどん濃くなる気がするので、薄い色を重ねるタイプの塗り方の方は序盤は気持ち薄めに塗って様子を見た方がいいかもしれないです。
逆に、にじみ分離一発勝負の方にとっては、最初から色がはっきりして使いやすいんじゃないかなと思っています!
制作過程はこちら
最後に製作過程のツイートをお送りいたします。
この辺りでドラゴンめっちゃ練習していました。
デフォルメ~リアルまで。模写が多いので載せられなくて残念です。
炎の描き方で資料を漁っていました。
ラフの炎がしょぼかったのでwもうちょっと迫力のある炎をと自力でデフォルメ。
今となるともっと漫画方面も当たってみたら、炎の理解が深まったかもしれません。
光などのエフェクトがある場合は、エフェクトから塗っていくのがおすすめです。
他の場所から先に塗ると、光らせたいところにすでに色が入ってしまっていてどうしよう……な現象が起こるので、自分は光の部分を先に塗ります。
この段階が凄く好きでした。固有色入れるとちょっと鮮やかになりすぎて、後から彩度を落としたので、
最初から渋い色で塗っていきたかったなぁと。
ここまで塗ったらあとは線画を描き起こして足りない場所に色を入れるだけです。
そして完成です!!
作例を動画にしました!
ちょっとしたストーリー動画もあります。頑張ってしゃべらせていますw
終わりに
やりたいこと全部加えたら大ボリュームになりました。
しかし、ストーンヘンジアクアの魅力を余すことなく伝えようとすると、こんな感じにはなりますよね~。
しかし作例2枚制作は間に合うか途中ヒヤヒヤでした。
2枚同時に塗り始めたことで幾分時間短縮できたものの、祝日があったからこそ何とか時間を作れたとしか言いようがないです。
これでストーンヘンジアクアに対する理解度も、自分の絵のレベルも!
1段階上がったと思うので、今後もいいもの作るために精進してまいります。
そして、これからも自分の絵のお供として使い続けます!!
「だから私は、ストーンヘンジアクア。」