こんにちは。低彩度の色を愛するホネ山です。
今回はかなり自分の考えまっしぐらな記事が出来上がりました!
あくまで水彩を使う沢山の人の中の一人の意見として読んでいただけたらと思います。
「色が濁る?濁った色ってカッコいいじゃん!」というお話と、意図せず濁らせてしまったとき自分ならどう対処するか?をまとめました。
色が濁るってどういうこと?
諸説あると思いますが、自分の中では「高彩度の色の中にうっかり低彩度の色が混ざってしまった状態」という定義を考えています。
図を用意しました!
まずこの明るい色の中にポツンと入ったくすみ緑。
なんか煮え切らないというか、濁って見えます。明るくてきれいな緑でいて欲しいですよね。
しかし、真ん中の緑の色を変えずに、周りの色の彩度・明度を調節していきます。
すると……。
真ん中の色と調和がとれました。違和感はないと思います。
更に周りの色の彩度や明度を下げていきます。
すると、真ん中の色はむしろ鮮やかに見えてきませんか?
ということで、色の濁りは「周りの色との相対的な関係」によって起きる現象だと考えています。
濁った色も愛おしい
例えば、下記の画像。1つ1つの色はめっちゃ濁色です。
彩度が低く、原色中心の絵に入れたら濁っているような色ばかり使っています。(特に背景のじゅうたんとかコートの黒やくすみ金とか)
でも、濁った色同士で構成された絵でしたら、まとまりが出てこれはこれでOKかな!と思える絵になっている(はず?)です。
更に、高彩度高明度の色(この場合目や背後の光など)を小さい面積で入れることで、発光して見えるようになります。
そして分かりやすいのがこの画像。
2020年と2024年で同じポーズで描き比べたものです。
(なんでこんなポーズを選んだのか。2020年の自分よw)
2020年はオペラをガンガンに使った彩度の高い塗り、
2024年は正反対で、濁りのある低彩度色でまとめて塗った1枚になっています。
画力の違いはありますがw、どっちもこれはこれでまとまった絵になっています。
ということで個人的お気持ちいきます!
なんか昔どこかの本やネットで「●●すると色が濁る」みないな記述をいくつか読んで、濁った色を作ることは良くないことだと最初は思っていました。
でもいざ使って濁色を並べた絵を描いてみると、
「濁った色かっこいいじゃん!めっちゃ表現の幅が広がるじゃん!」と
すっかり虜になりました!
低彩度、低明度の色、どんどん絵に使っていこうぜ!
もちろん水彩には、鮮やかな色で塗りこんだ絵や、手数を減らして水彩の瑞々しさを最大限に絵化した絵など、いろいろな塗り方がありますし、どれも素敵な塗り方です。
その中でもホネ山は低彩度のパステルカラー(濁色)をふんだんに使った塗りがメインになっていった。というような絵柄の立ち位置なので、こんな主張をしてみました。
濁った時の対処法1:重ね塗りしたら濁ってしまった!
とはいえ、意図せず濁った時に、どうカバーしていくかは腕の見せ所かもしれません。
ここに、わざと濁らせた制作中の絵を用意しました。
色分けをした絵全体にターナーのシナバー中心の混色で重ね塗りをしました。
すると、鮮やかな青で塗ったパーツが盛大に濁りました……!!
デジタルと違い水彩では、元の色と大幅に違う色相(または彩度)の色を重ねると、微妙な濃淡が生まれ、濁ります。
さぁ、ここからどうカバーして参りましょうか。(ワクワク)
まず、最初の説明の振り返りで、暗くて彩度の低い色が周りにあれば、なんとなく鮮やかには見えるはずです。
ということで、暗いパーツをより暗くしていきます。
つけ襟と瞳、前面の布に影を足しました。
そして肝心のマント。今のままですと、鮮やかな青とグレーが混ざった状態になっています。
ここに元の青色を足してもいい感じにはならないだろうと考えまして……。
塗った色(青)と重ねた色(くすみ赤)の中間あたりの色(つまり紫)をエイッと塗り重ねました!
お、赤みが全体を支配している絵なので、
紫を足したことでいい感じにカバーできているんじゃないですか?
そして仕上げ!暗色の主線を重ねていきます。(白でもいいと思います)
この作業をすることで、コントラストが生まれる&エッジがスッキリし、一つ一つ一つの濁色も「中間色」として目に飛び込んでくることになります。
最初の色の図で説明しますと、こんな感じです。
ということで、線画で程よいコントラストを作ることで、見やすく魅力的に色を伝えることが出来ました!
(話の脱線)描き始めは薄くしておいて、なぜ後から線画を描き足すのかですが、光の当たっているところの線画を薄くしたい(描き起こさない)からです。
影が落ちているところは太く濃く、光の当たっているところを薄く淡くすることで線が絵に馴染むので、そうしています。
どこを明るくするかは塗りの時に考えたいので、線画の段階ではうっすらにしておいて、後から書き足す形式になりました。
濁った時の対処法2:何か全体に合わない色を塗ってしまった!
例えば、配色計画をせずに何んとなく塗り始めた時って、「なんでこの色置いたんだろう……」と後悔すること、ありませんか?私はあります。
図左は、青紫調のキャラクターの塗りに、(何を思ったのか)茶色の背景を置いて、いまいち色が調和しなくなった例です。
でも、「絵具が割と薄い段階」なら全然カバーできます!
(本来表現したかった色調とは違う道に行くかもしれません。そして濃く塗ってしまった場合は描き直した方がいいかもです……)
自分の場合、「浮いている色調に全体を合わせることで調和を取る」作戦でカバーします!
まずは、薄紫の絵にするのを諦めますw
しゃーないです。また描けばいいと思って諦めます。
そして断腸の思いで浮いている色(この場合、背景色の赤茶色)を全体に薄く重ね塗りします。(上段図右)
薄めに塗ることがポイントです!
そうすると、茶色いライティングになったような感じで、全体の色調がまとまりました!
こうなったら後は塗り進めていくだけです!
「中間色はコントラストをつけることで生き生きしていく」を信じ、明るい場所にイエローオーカー系統の色、暗い場所に茶色と紫を混色した色を重ね、塗っていきます。(下段図左)
この段階で「濁りが加速したかもしれない……」と不安になるかもしれないですが、主線を描き起こすと大体カバー出来るのであまり気にしません。
最後に線を描き起こして完成です!
暗い場所に小さな影が入っているだけでもコントラストが付き、濁って見えた色が美しい中間色に見えるようになります!
透明水彩は性質上明るくできないので、合わない色調や彩度の低い色が浮いている場合は、その色に全体を合わせていくって考え方を持っていると、結構何とかなる……ような気がします。
終わりに
急に思いついてほぼ2日で書いた記事でした!
自分の塗りの肝になる部分を、サクッとコンパクトにまとめられました。
意図的に色調を偏らせることで、ホネ山の絵は出来ています。
手数少な目で、色の瑞々しさを重視するタイプの方は……。
そういうのが得意な方にコツを聞いていただけたらと思います!