こんにちは、ホネ山です。
デジタルからアナログ水彩をメインにして早2年。
移行するにあたって困ったことはたくさんありましたが、その解決策をまとめました。
2年目の記事の集大成版です。
塗り方は千差万別なので、ここに書いてあることは自分の一例ですが
何か役立ちそうなことがあったら、持ち帰っていただけると嬉しいです!
- 2年間でこれだけ成長しました。
- ホネ山のCG時代の絵って?
- 困ったことその1: レイヤーも左右反転がない!→下書きにトレーシングペーパーを使う
- 困ったことその2: 紙によってテクスチャや塗り心地がまるで違う →紙を選ぶ。紙に投資する
- 困ったことその3:巷のミリペンの主線が濃すぎて塗りから線が浮く→顔料インクを調合して薄めの色を作っておく
- 困ったことその4:水彩は原色が多くて中間色を作りにくい→複雑な混色をストックしておく
- 困ったことその5:パーツごとに塗ると影がちぐはぐになる!マット感が欲しい→パステルカラー1色で下塗りをする
- 困ったことその6:できた絵がいまいち見栄えがしない→絵にデザインの要素を取り込む 仕上げでホワイトと線の書きおこしをする
- 余談:これだけやって、1枚に何時間かかるの?
- 最後に
2年間でこれだけ成長しました。
まずはこちらのツイートを。
最初にオリキャラ(右の絵)をカラーで描いたとき、「好きな色で塗ったはずなので、なんでこんなに汚くなっちゃったんだ~!!」と悲しみを背負いましたw
そこから何とかしたい!と試行錯誤をし続けて約2年。
過去絵のリメイクをしたとき(左の絵)
「これ、何とかなったんじゃね?」
とようやく……ようやく!思えるようになりました。
ホネ山のCG時代の絵って?
私はアナログ→デジタル→アナログと、アナログに戻ってきた人間なのですが、
アナログに戻ってきたときに絵がデジタルの時より下手になりました。
CG描いていたときはこんな感じです。
版権ばかりで載せられるオリジナルが2枚しかありませんでした。。。
こちらは描きかけの絵。(後ろ姿と顔アップ部分のみ完成しています)
どちらかというとやわらかめの中間色中心で、水彩筆でスポイトでスポイトしては塗りこんでいく
いわゆる水彩厚塗りタイプでした。
ツールをフルに活用して左右反転しまくりながらデッサン狂いを潰していって、修正に修正を重ねて、
色調補正もしまくってようやく完成するような作り方でした。
なので、ほぼ一発勝負のアナログに来たときは、目の負担の少なさに感動しながらも、思うようにいかないことの連続でした。
主に下記辺りがつらかったです。
- 左右反転がない
- 紙によってテクスチャや塗り心地がまるで違う
- 世の中に存在するペンの色が濃すぎて、塗りから浮く
- 水彩は原色が多くてやわらかい中間色を作りにくい
- パーツごとに塗ると影がちぐはぐになる!
- 色にマット感が欲しい
- できた絵がいまいち見栄えがしない。色調補正ができない
そんなアナログあるあるですが、試行錯誤の末、解決策を自分なりに編み出しました!
まとめると、事前に準備さえすれば、結構どうにでもなることが分かりました。
困ったことその1: レイヤーも左右反転がない!→下書きにトレーシングペーパーを使う
アナログのデッサン狂いに悩む方に伝えたい!
トレペを使うと!左右反転しながら下書きを描くことができます!!(大声)
左右反転はこれが最強だと思います。画面が発光していないので目にも優しいです。
半分に折って使うので、トレペはA4など大きいのを用意します。ちょっと厚みのあるものが画材屋さんにあるので、厚みがある方が描きやすいです。
【トレペで左右反転しながら下書き→線画】
1)大体の構成・モチーフの配置を妄想します。
ここでスケッチブックに何パターンか描くこともあります。
2)トレペを半分に折ります。
はがきサイズの場合は半分に切り、さらに半分に折るとちょうどいいです。ATCならさらに半分(8分の1)。
「片面にラフ、片面に下書き」を描くという作戦です。
3)片面に、表情やどこでどういうポーズをとっているなど、情報が分かる程度にざっくり描きます
ここで配置や表情など、構成の部分を煮詰めます。
大体の配色もここで考えておくとものすごく楽になります。
意識高いことを描きましたが、図のキャラの絵は適当過ぎですw
ここでうまくいかない場合は諦めて次の紙に1から書きます。
その方が早く理想に近いものが出来上がります。
4)描いたラフを裏返し(左右反転し)、折ったもう一つの紙面を重ねて下書きをする
はい!ここで左右反転出てきました!
さっきの構成を透かして見ながら、どこに骨と肉やパーツがつくとバランスが改善するかを考えて下書きをしていきます。
この時、資料があれば横に出します。
ドンピシャのがなくても似たものを写真や絵で見ながら書いた方がクオリティが上がります。
しかし3)で作った構成があまりにもアバウト過ぎると肉付けがしにくいので、そういう時にはもう1枚挟み、煮詰めてから下書きします。
5)4)の下書きを裏返し、トレス台で水彩紙にトレスする
こんな感じで左右反転して描いた下書きを更に左右反転させ(元に戻し)
水彩紙にペン入れをしていきます。
応用:グリッドを印刷しておくと、下書きで捗ります。
空間を感じさせる絵やあおり俯瞰の絵を描くときのために、
フリーのグリッド素材を見つけて、いろいろな角度で印刷しておくと
下書きの時に角度のついた絵が楽に描けます。
クリスタお持ちの方用ですが、グリッド素材探すと何点か出てきますで、お気に入りのものをダウンロードしておくと捗ります。
更に複雑な絵(神絵師みたいに屋上から外の景色を覗いている絵など)を描くときは3DCGで配置してしまうのが最も楽ですが、それは別の記事で紹介しようと思います。
そして、ここには出てこなかったですが、塗りは反転できないじゃないかと。
これは、写真を撮って左右反転することで、ある程度ですがカバーできます。
事例では白黒に変換し、コントラストのチェックを行っています。
そんな感じでいかがでしょうか?!
困ったことその2: 紙によってテクスチャや塗り心地がまるで違う →紙を選ぶ。紙に投資する
透明水彩は、紙によって書き心地が全然違います。
これに関しては、いろいろな紙を試して自分に合った紙を探すしかなくて。
私がいくら感想を書いても、(大まかな性質は伝えられても)あなたの画風に合うか合わないかは画面から確かめることができないんですよね~。
そんな運命の紙探しですが
各社から出ているアソートパックを試して、気に入った紙を改めて買うのが、経済的にも効率面でも手っ取り早いと思います。
↓こちらは300円ぐらいでお安い!
イラストで人気のホワイトワトソンやランプライトが入っています。
全体的に入っている紙の値段もお安めなので、たくさん描きたいけどお金が。。。という方に。
巷でよく聞くウォーターフォード試したいならこれ。
重ね塗りしまくる方ならこのセットのウォーターフォード(次点でストラスモアかな?)から試すといいかも。
500円切る価格で高級水彩紙のセザンヌも入っています。個人的にセザンヌクセがなくおススメ!
あとふわふわの質感のトルションも入っています。
しかし、
私はここに載っていないストーンヘンジアクア細目という紙をメインで使っています。
この紙はパステルカラーの発色がよく、透明水彩なのにコピックのような仕上がりになる不思議な紙なのですが
マスキングにめっぽう弱く、万人にお勧めできるかと言われると。。。
でも自分はないと困るぐらいの紙です!
アイキャッチの事例(after)もこの紙で塗っています。
困ったことその3:巷のミリペンの主線が濃すぎて塗りから線が浮く→顔料インクを調合して薄めの色を作っておく
CGの主線って、結構薄いんですよね。
明るいパーツは線が明るく、暗いパーツの線は暗く。
で、巷で出ているペンは文字を描くためのものなので色が暗くて塗りが浮く、
カラーペンは逆に色が鮮やかすぎる!
そしてグレーのペンになると色が薄すぎる!
ちょうどいい色だと思いきやインクが耐水性じゃなくて水彩使うと滲む!
みたいな感じで、ピッタリくるインクがなくて困っていましたw
↓これは、主線に困っていたころの絵です。
これについては、耐水性インクを自分の絵に合うように調合して、空のミリペンに入れる方法で解決しました。
つけペンだとアクリル系のインクなどもうちょっと選択肢があるのですが、自分はミリペン派。
メーカーで混色前提でインクを出している&0.3mmのペンを売っているということで、カキモリさんのを使っています。
詳しい記事があるので、こちらをご覧ください。
作った色はグレーブラウンでマジでちょうどいいです。
主線の色を変えてからグッと絵のクオリティがアップしました!
困ったことその4:水彩は原色が多くて中間色を作りにくい→複雑な混色をストックしておく
(画風にも寄ると思いますが)自分がCGで使っていた色の範囲って大体図の辺りで、
中間色が多かったんですよね。
しかし巷で売っている透明水彩の色って、下記の図のようなラインナップで、
原色多めで中間色が少ないんですよね。
しかも粒状化するなど、絵具によって特性が異なります。
(粒状化する色は重ね塗りすると粒のテクスチャのせいで荒れて見えるので、ツルっとしたイラストを描くときには使いにくい)
補色を混ぜれば彩度が落ちるので、混色が必須なんですが、
補色を混ぜた色ってちょっとの配合違いで別の色になってしまい、毎回ベストの色を作れるとは限らないことが悩みでした。
そこで、よく使う混色をハーフパンに作り溜めして、ストックを作りまくったところ、
色遣いが劇的に変わりまして!
安定した色で塗れるようになりました!!
詳しくはこちらの記事に書いています。
もしくは、下のような中間色の絵の具を買ってしまうとすぐ解決します。
スーパービジョンのパステルカラー(わたあめ)はグレーがかった色の10色セットですが、黒が入っていないので、混色すると、ちょうどいい感じの柔らかい色になります。
困ったことその5:パーツごとに塗ると影がちぐはぐになる!マット感が欲しい→パステルカラー1色で下塗りをする
パーツごとに影を塗っていたら、ついそのパーツしか目がいかなくなり……w
気が付くと影の位置がちぐはぐになっていること、自分はよくあります。
なので、CGの時にやっていた、「先に1色で影を作る→上から色を重ねる」の方法ができないかな~と思い、下塗りで極力失敗を防いでいます。
また、この方法で全体の色調がある程度統一されて中間色を表現しやすいという副効果もでてきました。
でも、それでも影は結構失敗するのでw 最近は線画をコピー用紙に印刷して、影ラフを作ることが多いです。
困ったことその6:できた絵がいまいち見栄えがしない→絵にデザインの要素を取り込む 仕上げでホワイトと線の書きおこしをする
これは本当に最近気を付け始めたことなんですが、
絵にデザインの知識を生かすことを考えています。
(がっつりデザイナーではないですが、仕事でデザインに結構関わっているので、一通り本やインターネットで勉強しました)
自分が特に気にし始めたのはまず2点です。
「見せたいものの優先順位をつける」ことと、「配色のバランスをとる」です。
見せたいものの優先順位をつける
絵で見せたいものに優先順位をつけて、その順番通りに目立たせることを最近気にしています。
下の絵の場合だとこんな感じで意識しています。
1位:左の子が持っているオーブ(武器のパーツ)
2位:二人の表情
3位:右の子の胸筋
4位:左の子の服
5位:床に敷いている布類
一番オーブを目立たせる必要があるため、オーブのコントラストを高くして、光の放射を描きました。
放射の方向を右斜め下に強く出すことで、オーブ→右のキャラの視線誘導を作りました。
配色のバランスをとる
ベースカラー:アソートカラー:アクセントカラー=6:3:1
の比率でまとめると、色がまとまりやすいという法則があります。
さっきの絵の場合は、図のような感じになりますね。
それらを反映させると……!?
仕上げの段階でデザイン的な考え方を当てはめてみて、適用してみました(それまであまり考えていなかったw)
結構変わります!
構成(下書き)の段階で計算しておけって感じですがw
優先順位と配色を意識することで結構変わります!
仕上げから意識しても損はしないです!
余談:これだけやって、1枚に何時間かかるの?
ハガキサイズの絵で大体8時間ぐらいですかね~。
・構想~資料集め:30分~1時間
・下書き :1時間
・ペン入れ :30分~1時間
・塗り :4~5時間
下書きはトレペ駆使するようになってから、デジタルで作っていた時よりも早くなりました。
(ペンタブで線引くの苦手だったので)
塗りは複雑なモチーフになるほど時間がかかり、顔アップは早いです。
最後に
かなり長い記事になりましたが、これがやりたかったので最近の記事を作っていたというとことがあり。
どうしても年内に記事を上げたかったので頑張りました!達成感!
これからも絵の内容を磨いて、第2弾を作れるようになったらいいなぁと思います!