こんにちは。ホネ山です。
今回は絵具メーカー「株式会社クサカベ」の工場見学と絵具づくり体験をやってきたので
その感想です。
※お子様用の工場見学は内容が異なると伺っています!
こちらは大人用の記事のレポです!
まず、チケット入手難易度が高かった
このツイートがされたのが7/5の平日昼。そこから1日掛からず枠が埋まりました。
はやっ!
自分はツイートを見た瞬間スケジュール確認し、当日休みにできることを確認したうえで即申し込みました。
恐らく集まった方々は結構な絵具好き……だと想像できます!
バスに揺られて……到着!
バスの写真や外観の写真を撮りそびれました。
東武東上線 朝霞台駅からバスで10分ぐらい(結構混んでいる)揺られました。
最寄りのバス停「膝折横町」につき、「ここからどうやって行こう……」とバスの進行方向を見たところ、「KUSAKABE」の看板の文字が!
なんとバス停のすぐお隣でした。
会場の会議室までも「工場見学の方はこちら」などの誘導がたくさんあり、温かい気分になりました!
まずはクサカベの歴史から
この辺りは覚えている限りで。
・1928年創業 もうちょっとで100周年!
・創業者はもともと薬剤師だったが、画家など油絵具の製造を依頼された
→当時は顔料は危険物扱いだったので、資格を持った人しか買えなかったため
・評判を呼び、量産体制へ。水彩・アキーラなど
→50年以上使っている機械もある。たまに調子が悪くなることがあるので心配。。。
・現在は国内の他、中国・韓国にも輸出している
いざ、工場見学へ!絵具が出来るまでを追いました
の前に、絵具が出来るまでの内容をまとめた映像を見ました。
同じものがまんまYoutubeに合ったので紹介!
こちらは油絵具が出来るまでですが、水彩でも同じような流れで出来上がるとのことです。
ということで、油絵具が出来上がるまでの工程を見せていただきました!
説明は覚えていることを書きました。
多分内容の2/5ぐらいです。本当にたくさんのご説明をいただきました。
見学中も社員の方からたくさん挨拶をいただき、ほっこりした気分になりました!
まずは材料を混ぜ合わせるミキサー
油と助剤(ステアリン酸)を入れ、いい感じの温度(80度ぐらい)に温めて、油絵具に適した油にします。
顔料と作った油、体質顔料を入れてミキサーで混ぜます。
・油を入れる機械、実はおいしい揚げ物を作る機械を利用している(温度調節がちょうどいい)
・大きいミキサーと小さいミキサーと、3種類+水彩用がある
・水彩用のミキサーは回転が速い(確か粘度が油よりも緩いからだったっけな)
・炭酸カルシウム(体質顔料)は大抵の油絵具には入っている。硬さの調節や濃すぎる顔料などを調整したりする役割。非常に安い絵具だとこれが多く入っている場合も。
絵具を練り上げるロール
3本ロールミルという機械で練り上げる
・1つ目と2つ目のミルの間に絵具を置き、グルグル回って3本目まで行ったらゴール。3本目の端の絵具をこすり取って、これを4回ぐらい繰り返す(水彩は確か2回)
・顔料の塊がほぐれることで均一に顔料と油が混ざり合って分散される
・3本の速さの比率は1:3:9。速く回転する方に絵具が流れる(巻き取られる)ため、下には落ちてこない。
・鉄のロールとセラミックロールがあるが、硬い顔料(カドミウムとか)はセラミックを使う
安定した品質のためのチェック
色/硬さ/粒子の大きさを見て、基準の絵具と相違ないかを確認します。
・まず人間が目視でチェック、次に機械に入れてチェック
・チェックする絵具は熱く盛ったところと薄いところを両方作るようにする
・無彩色(中間色・グレー系)の感度は人間>機械、鮮やかな黄色の感度は機械>人間なので、両方のチェックが必要
・チェックで不合格になってしまった絵具は、ほとんどは捨てずに、色味や練りを再調整して合格に近づける
・ロールの4回目の初めごろにチェックをする
絵具のクオリティを上げるために熟成
絵具のクオリティを上げるために感につけて1週間~1か月熟成させる工程があります。
・水彩の場合すぐに充填します
チューブに詰める充填
充填機でチューブに詰めます、機械でラベル貼りをします。
・順番が来るとチューブがポコッと上がって絵具が注入される(図左)
・1日4000本ぐらい作る
・出来て1日に2.3色
・20mlと40mlの両方を1回で作るようにして、効率化を図っている
完成!
段ボールに詰められ、出荷されます。
テープでぐるぐる巻きになっているものは海外への出荷のようです。
ちなみにハルモニア話題沸騰の時ってどんな感じでしたか?(質問)
・品薄になったときはとても忙しくなり、休日出勤などもあった
・想定より反響がすごかった。見通しが甘かった
・絵具の製造もだったが、チューブの確保も課題だった
・ハルモニアのラベルはシールになっていて、手で貼り付ける
絵具づくりへ
絵具の材料の話を一通り聞いた後、絵具づくりに入りました!
絵具の毒性の話も聞きましたが、こちらは改めてまとめて別記事にしたいなぁと。
まず顔料が選べることにびっくり!!
……というか種類多っ!
一応価格にモザイク入れておきましたが(随時変動しそうなので)、材料費+道具代+レクチャー代で考えるとかなりお安い価格でした。
これは今回の大人の工場見学向けに作った、スペシャルなメニューということですが
顔料の選び方がマニア向けというか、「ここら辺作ってみたいでしょう?」というメーカーさん側のおもてなし心を感じました。
(カドミウムとか、毒性のあるものなかなか家で作れないですしね)
いつもはイエローオーカーかウルトラマリンの2種類と聞きました!
実は、「追加料金で別の顔料が選べます」と参加者には事前に案内されていたのです。
これはきっとラピスラズリがある!と予想していたので、「今回はラピスを選ぶぞ~!!」と思っていましたが、実際にリストを見ると
なんと!なんと!ホネの推し色No,1のブルーレーキがあるー----!
何故あるんだ!!なぜ用意されているんだ!!
このシチュエーション動悸が止まりませんw
さて困りました。
しかもラピスの産地は選べる贅沢仕様です。
「ここはリッチにアフガン産ラピス10mlを練って帰ろうVS当たり前のようにブルーレーキ選ぶのが漢だろう」
の二人が頭の中で対立していますw
結局こう考えて、ブルーレーキにすることにしました。
熱いホネ:ここで推し色No.1のブルーレーキを選ばないわけにはいかない!
冷静なホネ:アフガン産ラピスは買おうとすれば買える。ブルーレーキはどこで顔料買えるのかよく分からないから、こちらにしよう。
いざ、作成!
まずはこちらも最初にビデオを確認しました。
このビデオではなかったですが、内容は大体同じでした!
まずパレットナイフで絵具とメディウムを少しづつ混ぜる
→中濃ソースと同じぐらいの硬さになったら、少しづつ練り板で練っていく。
という流れです!
工程だけ見ると、とてもシンプルですね。
ブルーレーキを選んだ方にだけ、ガラス板がついています。
ブルーレーキは非常に軽い顔料なので、プラスチックの練り板で練ると、静電気が起きて舞い上がってしまい、それはそれは大変なことになるというわけで、メディウムと混ぜるまではガラス板推奨とのことでした。
他の有機顔料も同じような性質があるとのニュアンスでした。
出した時点で、粉が飛んでいますw
作業中も何度も手を洗いに行きました。
そしてなかなか混ざらない!とメディウムを足していると、
メーカの方から「パレットナイフの腹を使って面で伸ばすようにするとよく混ざります」とアドバイスをいただきました!
パレットナイフの腹でつぶすように混ぜると、確かにちゃんと混ざるようになった!やった!
一通り良き硬さにして、プラスチックの練り板に移動します。
ブルーベリー1個分ぐらいの絵具を練り板に出し、練り棒でゴリゴリ。
20回ぐらいグルグルと磨り潰し、パレットで隅っこに移動します。
これが、元の絵具がなくなるまで繰り返します。
(これの機械バージョンがロールミルということです)
そしてブルーレーキは乾きやすい&練ると重くなるということで、結構練るのに力が必要でした。
筋肉痛の腕でゴリゴリと根気よく続けて30分ぐらいで、完成!
チューブに詰めてラベルを貼りました。
実際の色はこんな感じです!自分で練ったブルーレーキ!イメージ通り!
実用目的で使おうと思います。
早速、作ったブルーレーキを使って塗ってみました。
線画は枯葉庭園さん( @Karehateien )です!ありがとうございます!!
いや~!素敵な線画で絵がうまくなったような気がしましたw
ブルーレーキが主役なので、マントだけは彩度を落とさずに重ね塗りしました
(マントの影にミジェロブルーが、光の当たる部分にイエローオーカーが重なっています)
しかし素晴らしい青紫ですね~!!
ホワイトナイツよりも少し赤みが強いような。(マゼンタや紫は一切重ねていません)
まったく粒状化しないのも青紫系では唯一無二だと思います!
本家のブルーレーキが入手困難になりつつあるので、顔料だけでも売ってほしい……!!
と、思わずにはいられない結果となりました。
最高!選んでよかった!
その他、珍しいものいっぱい
そしてこの2プログラム意外にも珍しいものをたくさん見せていただけました!
こちらもサラッと紹介!
コチニール
カイガラムシのメスから採れる染料。
水に溶かしたときの実験です。
これを顔料化するには、顔料に色素をくっつける「レーキ化」という工程が必要です。
プルシャンブルーの生成
物質を2つ混ぜ合わせることで(塩化第二鉄とフェロシアン化カリウム)プルシャンブルーできます!の図です。
結構激しく反応していました。
ウルトラマリン生成中のラピスラズリ
チェンニーノ・チェンニーニが書き記したラピスラズリからウルトラマリンを抽出する方法の途中である、ラピスラズリの粉と樹脂を混ぜて、水の中でもみもみしている最中の塊がこちら。
ラピスラズリ→天然ウルトラマリンの精製は、詳しくはこちらに。
豚の膀胱
昔は絵具を動物の膀胱に詰めて保管していたそうです!
左が空の膀胱、右が茶色い絵具を詰めた際の膀胱
感想
め~~~っちゃ楽しかったです!!!
Youtubeとか見てある程度事前知識は取り込んでいたつもりですが、
実際見ると迫力やメディウムの匂いなど、また違った印象を抱きますね。
そして、絵具にものすごく詳しい社員の方がいらっしゃる上、絵具に興味のある人だけが集められているという状態が、とても健康に良かったです!
マニアのためのマニアの世界がとても居心地がよく、ずっと居たい気分になりましたw
迷っている方、日程と資金が合えば是非ご参加ください!!(回し者的宣伝)
ホネ山以外の工場見学記事も読もうぜ(2022/07/25追記)
まやさんのレポ
ラピスラズリを練ったレポが中心に書かれています!
ハンドメイド絵の具を作るのって大変なんだなぁとしみじみしました。
玉野人魚さんのレポ
工場見学パートがめっちゃ詳しくて、もう1回説明を受けている気分になりました!!